転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
「――そうだな。それなら、次に俺が視察に行く時、一緒に行けるように手配しよう」
「……え?」
てっきり誰か警護の人をつけてくれて、ニイファと出かけるものだと思い込んでいた。リヒャルトの視察にヴィオラが同行するなんていいのだろうか。
「いいんですか? 私が、リヒャルト様の視察について行っても」
「幼い頃の思い出話をしたら、母上が少し元気になったからな。また、笑ってほしいと思ったんだ」
リヒャルトが、ほっとしたように目元を柔らかくする。
(ほら、やっぱり)
ヴィオラは安堵した。そうではないかと思ったのだ。リヒャルトも皇妃も、互いの距離を測りかねているというかそれだけ。二人の間に決定的な亀裂が入っているというわけじゃない。
こういう時、もう少し距離の近い大人ならたぶんお酒を飲む席を用意するんだろう。おいしいものを食べて飲んで。そしておしゃべりをすれば心の距離は近くなる。
アデリナ皇妃とリヒャルトが、難しい立場に置かれているのは、ヴィオラもなんとなく把握していた。後ろ盾のない皇妃が、どれだけ心細い立場に置かれていることか。
今は太陽宮の仮眠室で寝ているというリヒャルトが、週に一度でも二度でも、母の側に戻ることがあれば何か変わるかもしれない。
「それなら、その時までに。何を探せばいいのか、考えておきますね!」
心細い立場に置かれているのは、きっと今後も変わらない。
それでも。
皇妃の表情が、少しでも明るくなればいいなと思わずにはいられなかった。
◇ ◇ ◇
「……え?」
てっきり誰か警護の人をつけてくれて、ニイファと出かけるものだと思い込んでいた。リヒャルトの視察にヴィオラが同行するなんていいのだろうか。
「いいんですか? 私が、リヒャルト様の視察について行っても」
「幼い頃の思い出話をしたら、母上が少し元気になったからな。また、笑ってほしいと思ったんだ」
リヒャルトが、ほっとしたように目元を柔らかくする。
(ほら、やっぱり)
ヴィオラは安堵した。そうではないかと思ったのだ。リヒャルトも皇妃も、互いの距離を測りかねているというかそれだけ。二人の間に決定的な亀裂が入っているというわけじゃない。
こういう時、もう少し距離の近い大人ならたぶんお酒を飲む席を用意するんだろう。おいしいものを食べて飲んで。そしておしゃべりをすれば心の距離は近くなる。
アデリナ皇妃とリヒャルトが、難しい立場に置かれているのは、ヴィオラもなんとなく把握していた。後ろ盾のない皇妃が、どれだけ心細い立場に置かれていることか。
今は太陽宮の仮眠室で寝ているというリヒャルトが、週に一度でも二度でも、母の側に戻ることがあれば何か変わるかもしれない。
「それなら、その時までに。何を探せばいいのか、考えておきますね!」
心細い立場に置かれているのは、きっと今後も変わらない。
それでも。
皇妃の表情が、少しでも明るくなればいいなと思わずにはいられなかった。
◇ ◇ ◇