転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ
　リヒャルトの視察に同行させてもらう日が来た。

　いつもの通り、ニイファは、張り切ってヴィオラの支度をしてくれる。

　ヴィオラが着せてられたのは、レースの襟がついた白いブラウスだった。その上から茶色のワンピースを重ねて着る。ブラウスの袖は、ふんわりとしたバルーン袖で、二の腕から手首までは腕にぴったりと沿っている。袖口のところにもレースが飾られているのが可愛らしい。

　鏡の中を見ながら、ヴィオラは首を傾げた。いつもなら、ヴィオラの動きに合わせて髪が揺れるけれど、今日はそうならなかった。

　食材を扱っている店にも入ることから、今日は髪を頭の後ろでまとめて、お団子に結ってある。上から白いネットをかぶせ、赤いリボンで留めた。

「ねえ、ニイファ。私、可愛い？」

「とっても、可愛らしいですよ。ヴィオラ様。完璧です！　ブーツも大丈夫ですね」

　新品の茶色の革のブーツは、ちゃんと何日か前から準備して慣らしてある。今日は、たくさん歩いたところで、靴擦れができる可能性は低いだろう。

　以前、晩餐会の帰りに靴擦れを起こして帰ってきたことから、ニイファは靴に関しては今まで以上に気を付けてくれるようになった。

　コートやマントが必要な時期ほどではないけれど、だいぶ涼しくなってきたので、上から薄手の上着を羽織る。

「ヴィオラ、支度はできたか？」

「はい、リヒャルト様！」

　今日のリヒャルトは、いつもよりも装飾が少なめの服装だった。黒い上着と黒いズボンはどちらも無地のもの。上着の袖口についているのは黒曜石を使ったボタンだけれど、高価すぎて目立つような品ではない。中に着ている白いシャツも飾り気のないもので、道端ですれ違っても、ちょっと育ちのいい若者くらいで通じそうだ。

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