転生王女のまったりのんびり!?異世界レシピ

「そんなにお砂糖を入れるんですか？」

　あまりにも大量の砂糖を加えたので、ニイファがいぶかし気な顔になる。こちらの食文化では、豆は食事に使うもので、甘く煮て菓子にすることはない。豆を甘くすることに抵抗があるのだろう。

「うん。うーんと甘くしないとだめなの」

　砂糖をたっぷりと入れて、今度は弱火でじっくりと熱を加える。

　ここまでの段階で、すでに昼食の時間になろうとしていた。できあがったこし餡を冷ましている間に大急ぎで昼食を済ませる。

　餡ができあがったところで、今度はどら焼きの生地作りにかかる。粉を振るって、材料を混ぜ合わせ、生地を作り、油を引いたフライパンで丸く焼く。

（ちょっと、薄かった……かな？　あ、今度は大きすぎた）

　ちょっと大きさが不揃いになってしまったそれを、皿の上に並べて適温になるまで冷ます。冷ましている間に使った調理器具をきちんと洗い、冷めたところで、二枚取り上げ、餡を挟んだ。

　見よう見まねでニイファも手伝ってくれて、最終的には十個のどら焼きができあがった。

「なんですか？　これは」

「ええとね。どら焼き。ミナホの国のお菓子なんだけど……ちょっと食べてみる？」

「え、ええ……」

　不安そうな顔をしているニイファにいきなりひとつ渡すのもどうかと思ったので、半分にカットして差し出した。

「……本当にこれがお菓子なんですか？」

「そうよ。私も大好き。うん、おいしい！」

　手元に残った半分を口に運ぶと、 ヴィオラが食べているのを見たニイファは、恐る恐る渡されたものを口に運んだ。