どこかで夏が、笑っていた
長袖ワイシャツ
告白記録
「近永ー!!」
あぁ、まただ。
山田のバカが、叫んだ。
「近永、反応しろよー」
「……」
陸上部のバカが、100メートルほどの距離を全力で走ってこちらにやってきた。
隣に立って、平然と話してくる。
「……うるさいんだけど」
素っ気なく返すのは、このあとにやってくるであろう言葉を防ぐため。
「ははは、声の大きさだけが取り柄だからさ」
そう言った彼は、少し頭をかいた。悲しんでいるときの癖だ。
そんな顔をさせたかったわけじゃないのに。
「……ごめん、」
謝ろうとしても、山田は私の口を塞ぐ。大きな手が、私の唇にふれた。
「うわっ、キスマークつく!?」
「つかないわ、バカ」
大袈裟に飛び上がった山田。山田のバカ。バカ。
「ビシバシ言ってくれる近永も、好きだよ」
言われて、苦しくなった。
「23回目の告白です」