どこかで夏が、笑っていた
毎回毎回記録更新されていく、告白回数。
私はいまだ、返事をしたことがない。
「……っ、私は」
「近永っ」
私の声を遮るのは、焦ったような山田の叫び。
「いったぁぁ!!」
私をかばった山田が、背中をおさえてしゃがみこんだ。
……不幸体質の、私。
守ってくれる、山田。
返事をしようとするたびに起こる、不幸。
守ってくれる、山田。
バカ(好きな人)に告白されて、喜ぶたびに、プラスマイナスゼロにするためなのか、襲ってくる不幸。
今日は、野球ボールが飛んできた。
私をかばおうと、とっさに抱きしめてくれた。筋肉質な腕と、血管の浮き出た手の甲が、私を熱くしたのも一瞬で。
すぐに山田を心配する気持ちに変わる。