どこかで夏が、笑っていた
半袖の私と、彼の腕とがよくあたる。密着。
心臓の音、聞こえてないかな。
「明日からも、こうして抱きしめてもいい?
そういう関係になっても、いい……?」
不器用で、熱くて、まっすぐな瞳。
「……っ、いいよ。私も、それを、望んでたから。
……だけど……」
ドキドキが止まらない。あっついよ。夏にやることじゃないって。
……夏にやることじゃ、ないけど。
「……明日からは、私が、長袖を着てくるね……」
くっつきすぎて、ドキドキしすぎて、もう無理だよ。
「えぇ!?なんで!?」
いまはまだ、知らなくていいから。……いつか、半袖でハグできるくらいまで、耐性がついたら……そのときまた、半袖でハグしてね。
暑い暑い、夏。熱い熱い、胸。
ニヤケながら、ぱっと体を離す。ここは、学校だ。
「まず、資料を拾おうか」
初めての、共同作業だよ、山田。
END.