どこかで夏が、笑っていた
やっぱり私は、夏が嫌いだ。
そして私は、夏がすきだ。
お父さんとお母さんに、会えるから。
皮肉にも、絶望した日に動き出した新たな歯車。
傷はいつまで経っても癒えない。いまもなお、幸せになってもいいのか迷い、躊躇っている。
だけど。
「……行ってくるね」
あの日私が、貶めていると思い込んだ彼岸花に手を振る。彼らはそよそよと安らかに揺れている。
うん、行ってくるね。ありがとう。
私は、精一杯生きる。お父さんとお母さんに、思い出話と私の家族のことを向こうで、きちんと話せるように。
花言葉:また逢う日を楽しみに
END.