どこかで夏が、笑っていた
ラムネ味
ビー玉
「なにそれ?」
喜久野(きくの)が覗き込んできた。
「ビー玉?」
「そう」
ショートカット。でも可愛い。かっこいいよりも可愛いが似合う、俺の唯一の異性の友だち。
「なんでビー玉?」
うるせー。
「なんでそんなに大切にしてるの?なんでもかんでも無くしちゃうあんたが」
なんでこいつ、そんなに俺のことわかってるんだよ。
「……恋?」
「んっ」
やばい、声が出た。完全にバレた。動揺しすぎだ俺のバカ。
「なになに〜?お姉さんに話してみなさい」
「お姉さんって……生まれたのが1日早いだけじゃん」
「いいから、話して」
こうなると、こいつはもう言うことを聞かない。
「……そこの駄菓子屋によくいる女の子が、ラムネ飲んでたんだよ。男と。……それで」
「自分も飲んだ、と?」
コクリとうなずく。