どこかで夏が、笑っていた
「……どうしたの?」
元気ないね。付け足すと、彼はあいまいに笑った。
「あとで話す」
んー、と悩んでから告げられたひとこと。
彼の目に私はうつっていないと、実感する。あくまで私は、“4人のなかの1人”なんだと、痛いほどに。
「わかったぁ」
だらんと答えて、草の上に寝転がる。
「ラムネ、今日は飲まないの?」
「ん。……蒼士が、来てから……一緒に飲む」
蒼士、ラムネあんまりすきじゃないと思うんだけど。
弦に誘われて、たまに飲んでたっけな。
「すみれぇ、俺のどこがダメなのかな」
ボフンッ……地面と弦の背中が、ぶつかる。
……弱いところを、初めてみた気がした。
「えーと、チャラいところ?」
「……ひどいね」
事実ですから、と言っておく。そこがすきなところだ、と褒めたり、自分の気持ちを伝えたりはしない。