どこかで夏が、笑っていた
*
「なぁ、俺、ふられちゃった」
ラムネを飲み終え、千穂は今日来ないのかなと、3人で話していた時だった。
突然。ほんとに突然、弦が言うから。
「……そぉ、なんだ。千穂に、だよね」
他人事みたいで、おかしくなった。
弦が、なんとも言わないから……さらに、他人事。私たちに血縁関係はない。だから、こんなに距離があるようにみえるの?
それとも……。
「弦、千穂のこと好きだったんだね」
蒼士が、ぽつりと。
「ごめんね、私、実は気づいてたんだ」
私は、はっきりと。
「……そっか。気ぃつかわせてたかもな……ありがとう」
なんでそこまで、優しいの。
「……知ってた、から……苦しかった、よ……」
涙が、たまる。
透明なしずくと、言葉と。まるで落し物をしたみたいに、ぽとりとこぼれた。
「俺が、告白して、そのせいで……千穂がきにくくなったんだと思う」