秀才男子は恋が苦手。
秀才男子は告白する。
このカフェに来るのは久しぶりだ。ドアを開け中を見渡すと、一番窓際の奥の席―――いつも俺と衛藤が勉強していたその席に、突っ伏している衛藤を見つけた。
「お客様…?」
カフェの店員が近づいてきて、肩で息をしている俺を怪訝そうに見る。
「…や、あの、待ち合わせなんで」
そう言って衛藤の背中に向かって早足で近づく。
衛藤は広げた参考書の上に突っ伏して、眠っていた。
バイト帰りなんだろう。いつもの、上下紺色のジャージ。
いくら店内が暖かいとはいえ、この時期にはだいぶ、薄着だ。
「…バカ」
俺はコートを脱ぎ、衛藤の背にかけると正面の席に腰かけた。
…だいぶ疲れているのか。ぐっすり眠っている。
前から思ってたけど、衛藤って。
「…がんばりすぎなんだよ」
その時、ふっと衛藤の瞳が開いた。
慌てて、ポケットに入っていたスマホを取り出し意味もなく開く俺。
「…ん…え…つ、つつるん!?」
俺に気付いた衛藤が、素っ頓狂な声を出した。
「な、何でここにっ…!」
「声でかい」
俺の声にはっと口を押え周りを見渡す衛藤。
改めて俺をまじまじ見つめると、小声で
「…何で…?」
聞いてきた。