秀才男子は恋が苦手。
「つつるん!!!!」
翌日。
帰りのSHRが終わった瞬間、物凄い勢いで衛藤亜衣が俺の席にやって来た。
「…どうした、そんなに慌てて」
「きっ、今日!待ってる…ね?」
少し不安気に15センチ下から俺を見上げる衛藤亜衣。
「あぁ、今日も塾だから終わったらそのまま行く」
「わかった!!」
俺の返答にパアッと顔を輝かせた衛藤亜衣は、じゃ!とそのまま教室を走って出て行こうとした。
「あ、待て」
慌てて衛藤の腕をつかんで引き止める。
「マック以外の所で待ってろ」
「え?何で?」
「昨日の奴らがまた来るかもしれないだろ」
覚えてろクソ眼鏡!と吐き捨てて帰っていったしな…。
衛藤亜衣は大きな瞳で瞬きを一つすると、腕をつかんだままの俺の手をじ、と見た。
「…あ、悪い」
すぐに手を離すと、なぜか顔をほんのり赤くした衛藤亜衣がふるふると首を振る。
「だっ大丈夫!じゃぁ後でね!」
「おお」
衛藤亜衣は物凄い速さで教室から走り去っていった。バイトにでも遅れそうなのだろうか。
さ、俺も塾に行「つっつるーん♪」
「……つつるんはやめろ、千葉」
気付くと、千葉が物凄い至近距離から俺を見てニヤニヤしていた。