秀才男子は恋が苦手。
「つつるんってば、いつの間に亜衣ちゃんと放課後デートする仲になったのぉ〜?♡」
ツンツンと俺の肩辺りを人差し指で突きながらクネクネする千葉。超絶に気色悪い。
「デートなわけあるか。勉強を教えてやるだけだ」
「えっ…昨日まではあんなに嫌がってたのに。何の心境の変化だよぉ〜??♡」
あぁ…心底鬱陶しい。
「帰る」
俺は千葉を無視して教室を出た。
廊下を歩きながら、千葉の言葉を頭の中で反芻する。
何の心境の変化って…
俺自身にもよく分からない。気付いたら勉強を教えてやるなどと口走っていたんだ。
意外に苦労人なアイツに同情したのか。それともそんな彼女を冷たく突き放したことへの罪悪感か。分からないけど…
俺って意外といい奴かもな。