秀才男子は恋が苦手。
「大丈夫だよ〜!私バイトも夕飯作りも結構好きだし!勉強だけは嫌いだったけど…でもそれも、最近はなんか楽しいんだ」
衛藤が隣を歩く俺を見上げて、ニッコリ笑う。
「つつるんが勉強教えてくれるから、だよっ!」
「……っ」
やばい。
まただ。
動悸が。
「つつるん?どうかした?」
急に胸を抑え立ち止まった俺を不思議そうに見る衛藤。
「…いや…」
なんだこれ。なんの病だ??
「…ちょっと、体調が悪いのかも…しれない」
「えっそうなの!?ごめん、私が毎日遅くまで勉強付き合わせてるから!!」
「いや、違う。それは関係ない。気にするな」
はじめは渋々始めたはずだったのに、最近は人に勉強を教えるのも悪くないと思っている。
教えることで改めて、自分の復習になっていたりもするしな。
「帰ろう、衛藤」
少しすると動悸も治ってきたので、俺は再び歩みを再開した。