秀才男子は恋が苦手。
「は?何が」
「その動悸の正体が何なのか、ホントに分かんないわけ?」
「分かっていたらこんな本など読んでいない」
本当に何を言っているんだコイツは。
うるさいから図書室でも行こう。
本を持ち立ち上がったその時、千葉が俺の両肩をガシィッとつかんで引き止めた。
そしてしみじみと一言。
「おっまえ、頭良いのにすっげーバカだな…」
「…は?バカ、だと?」
生まれてこのかた、そんな言葉を言われたのは初めてだ。
ジロリと睨みつけた俺に、肩から手を離した千葉はフッと笑って、偉そうに言った。
「しょーがねぇから教えてやるよ。筒井お前、亜衣ちゃんに恋しちゃったんだよ」
「………はぁ?」
…恋?衛藤に?……この俺が?
「ありえないな」