秀才男子は恋が苦手。




「は?何が」


「その動悸の正体が何なのか、ホントに分かんないわけ?」


「分かっていたらこんな本など読んでいない」



本当に何を言っているんだコイツは。


うるさいから図書室でも行こう。



本を持ち立ち上がったその時、千葉が俺の両肩をガシィッとつかんで引き止めた。



そしてしみじみと一言。




「おっまえ、頭良いのにすっげーバカだな…」


「…は?バカ、だと?」




生まれてこのかた、そんな言葉を言われたのは初めてだ。


ジロリと睨みつけた俺に、肩から手を離した千葉はフッと笑って、偉そうに言った。



「しょーがねぇから教えてやるよ。筒井お前、亜衣ちゃんに恋しちゃったんだよ」


「………はぁ?」




…恋?衛藤に?……この俺が?




「ありえないな」




< 20 / 107 >

この作品をシェア

pagetop