秀才男子は恋が苦手。
「いや、もう30分以上過ぎてるだろ」
「え?」
「遅れるってラインもしたんだけど」
「うそっ」
衛藤は慌ててカバンからスマホを引っ張り出して確認すると、ごめん!と俺に手を合わせた。
「敦と喋るのに夢中になって全然気付いてなかった!」
敦お喋りだから〜、と衛藤が言うと、伊東も、お前もだろ!とすかさず返す。
仲の良さそうなその光景に、なんだかモヤモヤしてる俺がいた。
って。
は?モヤモヤ?
…なんで?
「じゃぁ筒井くん、亜衣のことお願いしますね?じゃーな亜衣!」
「うん、ばいばーい!」
にこやかに手を振る衛藤に俺のモヤモヤは加速していく。
…何だこれ。
「…仲良いんだな」
衛藤の正面の席に腰を下ろしながら言うと、うん!と頷く衛藤。
「まぁ幼なじみだからね!」
「……ふーん」
幼なじみ、ね。