秀才男子は恋が苦手。
「ちょっと数学の参考書を買いに」
「ふーん?ちょっと見して!」
そう言って俺の手から勝手に参考書を奪う伊東。
「おい!」
「へー意外!基礎編?カラフルで読みやすそうだし、筒井くんってもっと難しそうなの読んでると思ってたよー!」
「…別に俺のじゃないから」
え、と伊東がキョトンとしたタイミングで参考書を取り返す。
ったく、この強引なところ、本当千葉にそっくりだな。
「自分のじゃないって…じゃぁ誰の?」
「………」
「もしかして亜衣の?」
「………悪いかよ」
沈黙五秒。
「マジっすか!!!!」
「痛っ」
俺はなぜか伊東に思い切り肩を叩かれた。