秀才男子は恋が苦手。
「お前さぁ、もっと亜衣ちゃんの相手してやれよ!可哀想じゃん(笑)」
ちっとも可哀想には思ってない口ぶりでそんな適当なことを言うのは千葉翼。
千葉とは2年から、2年連続で同じクラスで一番つるむことが多い。
「…楽しそうだな、千葉」
「当たり前だろ?これまで勉強ばっかで全く女っ気のなかったお前が!あのお前が!!いきなり女子に付きまとわれてんだから!」
しかも結構可愛いし?なんてのたまうコイツは心底楽しそうだ。人の不幸を喜ぶコイツ、悪魔と呼んで差し障りはないだろう。
「…いいのか?他の女子に可愛いなんて言って」
彼女に言うぞ、と脅すと分かりやすく千葉の顔色が変わった。
「おい馬鹿テメェ!それとこれとは話が違うだろ!夏海はな、その辺の女子とは可愛いの次元が違うんだよ!なんつーか別次元なんだよ!?分かるか!?なぁ!!今朝だって…」
と熱く語り出す千葉は無視して、俺は最近購入したばかりの理論物理学の本を開いた。