秀才男子は恋が苦手。


「おー亜衣!」

「何で敦がここにいるの?」

「あー今日俺ら一緒に授業だってさ!」

「えっそうなの?」


パァッと衛藤が嬉しそうな顔をした…ような気がする。うん、あくまで気のせいだ。


「プッ」


そんな二人の様子を見る俺を見て、なぜか吹き出す千葉。


「お前すげー顔してるぞ?わかりやすっ」

「…は?」


何を言いたいのか意味不明だ。


「あれ、つつるん?」


そこでやっと衛藤が俺の姿にも気付いた。


「へー!敦とつつるんっていつの間に仲良くなったの?」

「断じて仲良くは「仲良いよ~!筒井くんになら安心して俺の大事な亜衣も任せられるしね」


ね?と無邪気な笑みをみせる伊東。俺はなぜかそれに猛烈にイラッときて、勝手に組まれた肩を思い切り振り払った。



やっぱり嫌いだわ。コイツ。




衛藤が去った後、千葉が「へ~亜衣ちゃんと伊東って仲良いんだ?」なんて呑気な声で聞いている。


「まぁね、幼なじみだからさ」

「おおっマジ!?いいよな幼なじみって!尊いよな~!!」


…くだらない。

立ち去ろうとした俺の背中に、「ま、一番近い存在ではあるよなー!」そんな伊東の声が聞こえる。



…一番近い、か。




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