秀才男子は恋が苦手。
「えー、というわけで今日は1組と6組の合同授業だ。ここまで人数がいるのは正直めんどい!というわけで男女別にクラス対抗のゲームをすることにする!勝手に始めてくれ!!!」
そんな、なんとも丸投げな指示だけ寄越し、壇上で傍観の姿勢をとる教師。
おいおい、と思ったが意外にも自由にゲームをしていいというのは皆嬉しいらしかった。その筆頭である中・高バスケ部、千葉がさっそく仕切り始める。
「じゃ、とりあえず男子あっち女子こっちー!クラスで2チームに分けてゲーム練な!」
そしてなんとなくチームが分かれたところで、伊東とアップし始める千葉。
さすが、中学はバスケ部だったというだけあって、ちょっとしたボールの触り方からも慣れているのが伝わってくる。
楽しそうだな、アイツら…。
「つつるんはアップしないの?」
不意に隣から聞こえた声。肩が触れそうなくらいの至近距離。15センチ下から、衛藤が俺を見ていた。
「あ、ああ。俺は、いいよ…」
すぐ隣にいるものだから、衛藤の脳天がよく見える。
「…小さいな」
「え?」
「…、何でもない」