秀才男子は恋が苦手。



「あはは、敦楽しそー!」


両手でボールをクルクル回しながら、衛藤がそんなことを言う。


「…ああ。そうだな。何で高校でも続けなかったんだ?あいつ」

「たぶん新しいことにチャレンジしたくなったんじゃないかな?
敦って昔っからそう。何に対しても好奇心旺盛っていうか。
小さい頃はけっこうヤンチャだったんだよー!」

「…ふーん。…楽しそう、だな」

「ね!やっぱ今でもバスケ好きなんだろうなぁ敦!」



…バカ。違う、そうじゃなくて。

楽しそうなのは…衛藤、お前だよ。


俺が今見てるのは、伊東なんかじゃなくて…



その時、パッと衛藤が俺を見上げた。


衛藤をガン見していた俺と視線がぶつかる。



やばい、見てたのバレ…


「つつるん、敦と千葉くんが呼んでるよ!」

「…は?」


見ると、千葉が俺に向かってブンブンと手を振っていた。


「おい筒井、お前俺と同チームな!んで、伊東をぶっ飛ばすぞ!!」


は?


怪訝な顔をした俺を見て、ふっと伊東が爽やかな笑みを浮かべる。


「大丈夫だよ筒井くん!俺一応経験者だし、素人相手に本気だしたりしないから!」


…なーんか。


ムカつくな。




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