秀才男子は恋が苦手。




ビーッ



第3ピリオドが始まった。


千葉の動きに集中して動く。



「筒井!」



千葉からの的確なパス。



すぐに相手の手が迫ってくる。



いや、落ち着け。
こういう時に落ち着いていられる奴がいつも勝利を掴むんだ。



ぐ、と一瞬狙いを定めてからボールを放った。シュ、と真っ直ぐにゴールネットに吸い込まれていったボール。



やっ…



「やったな筒井ぃ!!ナイッシュー!!」



なぜか俺よりテンションが上がっている千葉がすかさず走り寄ってきて、俺の背中をバシッと叩いた。だから痛い。


それからの俺の活躍はまずまずだったと思う。


まぁ千葉がいることが大きいのだが、何回かシュートを決めることも出来たし、いいパスも出せたのではないだろうか。



だけど、



「ナイッシュー伊東!!」



3ポイントシュートを決めた伊東を、チームメイトが取り囲んでハイタッチする。



…やっぱり伊東には敵わない。



「…そんなに悔しそうな顔するなよ、筒井くん」


すれ違い際、伊東が労うように俺の肩に手を置いた。



「…触んな」



すかさず振り払った俺に、苦笑する伊東。



「つーか俺、何で筒井くんにこんな敵視されてんだろ?」




それは…




……何でだろう。




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