秀才男子は恋が苦手。
「あー、大丈夫…」
「ダメだよ寝てないと!」
ベッドの上に上半身を起こした俺を無理やり寝かそうとする衛藤。
「大丈夫だから。ただの軽い捻挫だし」
「捻挫…」
衛藤が心配そうに包帯でグルグル巻きにされた俺の右足首を見て、ペタン、とすぐ近くにあったパイプ椅子に腰かけた。
「知らなかったよ。つつるんってクールなイメージで、あんまり体育とかに熱くならないタイプかと思ってたから」
「あー…」
本当は完全にそのタイプのはずなんだけどな。
「ねぇつつるん」
不意に衛藤が真剣な顔で俺を見た。
「質問って何?」
“伊東に勝ったら 。俺の質問に答えて”
「あー…いや、いいよ。結局勝ってないし」
「私が聞きたいの!」
衛藤が俺の手をグッと握った。
「っ!?」
心臓が一回転したみたいにグラリと揺れる。
「お願い。つつるん凄く真剣な顔だったし、大事なことなんでしょ?ちゃんと答えるから」
「…あー…」
やばい。
衛藤に握られている右手にばかり意識が集中して、心臓がドクドクうるさい。