秀才男子は恋が苦手。



「つつるん?」



衛藤があまりに真剣に見つめるものだから、俺は気付いたらコクリと、頷いていた。



「よし!何でもドンと来い!」



俺の手を離した衛藤が胸を張る。

それに少しホッとしたような、寂しいような不思議な気持ちを覚えながら俺は衛藤を見つめ返した。



「じゃぁ聞くけど…笑うなよ?」


「もちろん!」


「衛藤の、好きな食べ物は」


「…え?」


「あと、嫌いな食べ物は」


「ちょ、聞きたいことってそれなの?」



目を丸くする衛藤。



「…そうだけど?」



衛藤は不思議そうに目を瞬きさせてから、よし、と気を取り直したように口を開いた。



「好きな食べ物はハンバーグとイチゴパフェ、嫌いな食べ物はハンバーグの横によくある甘い人参!これでいい?」


「うん。あと…一つ」


「え?」


「…衛藤の恋愛遍歴」


「……は?」



衛藤が目を丸くさせたまま、固まった。



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