秀才男子は恋が苦手。



「ん?」


少し首を傾げた衛藤に心臓が爆発しそうになる。…自覚した途端これかよ、俺。



「俺、衛藤のことが…」



キーンコーンカーンコーン



「あ、やばいっ授業終わったっ!」



衛藤がパッと時計を見上げた。慌てて立ち上がる。


「黙って授業抜けてきたんだった…!私戻るねっじゃぁねっ!」

「…あ、あぁ」


…つーか俺、今何を…!


「…あ、そうだ」


ふと、衛藤が保健室のドアのところで立ち止まって振り向いた。

心なしか赤い顔をしている。


「一個訂正しとく」

「訂正?」

「さっき好きな人はいないって言ったけど…き、気になる人なら、いるよっ!」

「……は?」

「じゃぁねっ!」



パタパタと廊下を走っていく音が、どんどん小さくなりやがて聞こえなくなる。




………は?




「筒井ぃいいい!!」


ガラッと勢いよく扉が開いて、ジャージ姿の千葉が飛び込んできた。


「聞け!亡きお前の仇は取ったぞ!俺の完全勝利!だ!!」

「……勝手に殺すな」

「ん?つーか何か暗くない?どうした~?」



ガクガクと俺の肩を揺する千葉。心底鬱陶しい。



「…千葉」

「ん?」

「気になる奴っていうのは…好きな奴、ってことだよな?つまりは」

「は?急にどうした?」




…まさか俺。

自分の恋を自覚した途端、失恋決定…!?




< 49 / 107 >

この作品をシェア

pagetop