秀才男子は恋が苦手。
「ん?」
少し首を傾げた衛藤に心臓が爆発しそうになる。…自覚した途端これかよ、俺。
「俺、衛藤のことが…」
キーンコーンカーンコーン
「あ、やばいっ授業終わったっ!」
衛藤がパッと時計を見上げた。慌てて立ち上がる。
「黙って授業抜けてきたんだった…!私戻るねっじゃぁねっ!」
「…あ、あぁ」
…つーか俺、今何を…!
「…あ、そうだ」
ふと、衛藤が保健室のドアのところで立ち止まって振り向いた。
心なしか赤い顔をしている。
「一個訂正しとく」
「訂正?」
「さっき好きな人はいないって言ったけど…き、気になる人なら、いるよっ!」
「……は?」
「じゃぁねっ!」
パタパタと廊下を走っていく音が、どんどん小さくなりやがて聞こえなくなる。
………は?
「筒井ぃいいい!!」
ガラッと勢いよく扉が開いて、ジャージ姿の千葉が飛び込んできた。
「聞け!亡きお前の仇は取ったぞ!俺の完全勝利!だ!!」
「……勝手に殺すな」
「ん?つーか何か暗くない?どうした~?」
ガクガクと俺の肩を揺する千葉。心底鬱陶しい。
「…千葉」
「ん?」
「気になる奴っていうのは…好きな奴、ってことだよな?つまりは」
「は?急にどうした?」
…まさか俺。
自分の恋を自覚した途端、失恋決定…!?