秀才男子は恋が苦手。




【独占欲】1.人や物を独り占めにしたいとう願う気持ち。
     2.異性や恋人を自分だけのものにしたいと願うこと。



「つつるん何か調べもの?」

「っ」


慌てて開いていた電子辞書を閉じた。

覗き込もうとしていた衛藤が不審そうな顔をする。


「どうしたの?」

「い、いや別に?と、解けたか?さっきの問題」

「うーん、いいところまではいってると思うんだけど、こっからが詰まっちゃって…」

「ん?あぁ、ここは…」



冷静に問題を解説しているように見せかけて、俺の心臓はバクバクうるさかった。


独占欲、って。


俺が?


衛藤に?



…独り占め、って。


……この俺が…!?






「…マジか」

「はい?」


目の前で怪訝そうな顔をするカフェの店員。俺はそこでやっと我に返った。

今はレジで会計の途中だ。

俺、どんだけ頭いっぱいなんだ…。


「…すみません、何でもないです」


お釣りを受け取って、俺は出口に向かった。

秋も深まりはじめ、夜風も冷たくなってきた。ま、頭が冷えていいかもな…。


そんなことを思いながら外に出る。と―――



「いいじゃん、お茶くらい!ちょっとだけだからさ!」

「いや無理です、もう帰るんで!」

「そんなこと言わずー、こんな時間にフラフラして、誘われるの待ってたんでしょ?」



チャラそうな男何人かに、腕を強引につかまれている衛藤。



―――は?



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