秀才男子は恋が苦手。
「つ、つつるん…?」
衛藤が驚いたように目をみはる。
「衛藤。明日から外で勉強すんのやめよう」
「え…」
「俺んち。来いよ」
しばしの沈黙があって。
「はぁ!?」
完全に裏返っている衛藤の声。
「な、なな、つ、つつるんの家、って…!」
「そっちの方が安全だ」
「そ、そんな、お家の方にご迷惑だしっ…」
「それなら大丈夫。共働きで大体誰もいない。夜勤とか出張が多いから」
「で、でも、わ、私のためにそんな迷惑かけるわけにはっ」
「迷惑なんかじゃない」
「迷惑だよ!私のためにそんな…」
「俺のためだ」
頑なに断る衛藤を遮り言った。
「もう俺が、絶対衛藤を他の男に触らせたくない」
「…え…」
衛藤の目が大きく見開かれて、俺を見つめる。
は、と我に返った。
な、
何言ってんだ俺っ…!?
「い、いや、その、だから…」
こんなの、完全に彼氏気取りと思われても仕方ない。
俺は衛藤から慌てて手を離し、頭フル回転で言い訳を考える。こんなに頭をフル回転させることなんて、テスト中でもないんじゃないだろうか。