秀才男子は恋が苦手。
「ななななな、なななな何だそれぇ!?」
なぜか激しく動揺している千葉。
「おま、何だよそれ!!亜衣ちゃんを家に呼っ…」
「黙れ」
千葉の口をふさぎ俺は教室の隅に連行する。
慌てて教室に目を走らせたが、幸い衛藤の姿はなかった。既にバイトに向かったのだろう。
「っおま…ど、どういうことだよっ…そ、それっ…!」
俺に思い切り口を塞がれていたため、息絶え絶えになりながら話す千葉。
「別に、そっちの方がいいと思っただけだ。安全だし、金もかからないし」
「おま…何をそんな冷静に…女子を家に連れ込むってことがどういうことか分かってんのか!?」
まるで妖怪を見るような目つきで俺を見る千葉。
「どーせ筒井は何も考えてないんだろうけど…
お前、亜衣ちゃんが隣にいて、ちゃんと勉強できんのか!?」
「は?できるさ。いつもだって二人で…」
「外と家とじゃ違うだろ!!部屋に二人っきりなんだぞ!!?二人きり!!」
やたらと“二人きり”を強調しているが、別にいつもだって二人だけで勉強していたし、問題は…
「特に問題はない」
きっぱり言い放つと、千葉が「はぁぁぁぁぁぁ…」とマリアナ海峡より深いため息をついた。
「俺は賭けるね。お前、亜衣ちゃんが隣にいて、絶対勉強どころじゃねーよ。この…俺だって夏海とまだチュー止まりだってーのに…この…
ハレンチ野郎がぁ~~!!!」
そして千葉はそんな謎の叫びを残して、教室から走り去っていった。
…本当大丈夫か?あいつ。