秀才男子は恋が苦手。
「ここなの、ここ!この二次関数のところがどうしても分からなくて…なんで点A動いちゃうの!?何のために動くの!?ねぇどうして!?」
グワァッと頭をかかえる衛藤。落ち着け。
「いいか、冷静に考えればそんなに難しいことじゃない。一個一個よく噛み砕いて理解して考えろ。いいか、点Aの動く速度は一定だから…」
衛藤は数学が苦手だが、頭が悪いわけじゃない。むしろ飲み込みは早い。
俺の説明を聞きどうにか理解できたらしい衛藤が、さっきまでとは打って変わって真剣な眼差しで黙々と問題を解きはじめる。
…すごい集中力だ。もう、目の前の問題以外、何も見えてないみたいな。
俺も、自分の勉強をしよう。
それから、お互い黙々と問題を解き、何時間、たった頃だろうか。
「っどわぁ〜!」
「!?」
突然叫んだ衛藤が、バタッとラグの上に倒れ込んだ。
「お、おいどうした!?」
「…つ、疲れたぁ〜…」
どうやら集中しすぎて、頭がショートしてしまったらしい。
計画的にリフレッシュすることは重要だ。
「ちょっと休むか」
提案すると、衛藤が「うん!」と元気よく起き上がった。