秀才男子は恋が苦手。
「あっねぇねぇこれ、アルバム!?」
興味津々に俺の本棚を眺めていた衛藤が、一番下の段にあった卒業アルバムを指さしていった。中学の頃のものだ。
「あー、うん」
「見てもいい!?」
なぜかキラッキラした瞳で俺を見つめてくる衛藤。
「…まぁいいけど」
「やったー!」
衛藤は歓声をあげると、さっそく教科書をどかして、卒業アルバムを捲りだした。
「えっとーつつるんは…何組!?」
「…覚えてない」
「またまたぁ~!」
衛藤がバシッと俺の肩をたたく。いってぇ。意外とバカ力だな。
楽しそうにアルバムをめくっていく衛藤。他校のアルバム見てなんか楽しいのか?そんな疑問を持ちつつ俺も一緒に覗き込む。
「うわ、この先生恐そー!」
「あぁ、恐かった…気もするな。確か生活指導だったし」
「わ、やっぱり!」
衛藤が楽しそうに笑う。
…ていうか何か、こう改めて見ると…不思議な光景だな。
俺の部屋に衛藤がいる。
意識した瞬間、ドクン、と心臓が跳ねた。