秀才男子は恋が苦手。



「で?こんな所で黄昏ちゃってんのは、亜衣ちゃんが原因?」


俺でよければ話聞くよぉ~?とニヤニヤしている千葉は、確実に面白がっている。


「…別にそういうわけじゃ…というか俺、別にお前に衛藤が好きだとか一言も言ってないよな」

「いやいや、バレバレだからフツーに。
毎日勉強教えてやったり、挙句の果てには自分ち呼んじゃったり?

今まで他人には基本無関心だったくせに、亜衣ちゃんだけ構い方が異常なんだよ」



異常…


その言葉に俺は、静かに衝撃を受ける。


異常…だったのか……



「で?何か悩んでるんだろ?
この“彼女持ち”のお兄さんに話してみなさい?ん?」


分かりやすく上から目線の千葉にピクリと頬がひきつったのが分かる。

こいつ…なんか、すっげームカつく。


だけどそんなムカつく千葉にやすやす本音を話してしまう俺は、弱っていたのかもしれない。


「…集中できない」

「ん?」

「衛藤といると…集中できない。
今まで勉強に集中できないなんてことなかったのに。

アイツが隣にいると、
アイツばっかり見ちゃうし、近づきたくなるし、触りたくなる。自分で自分が抑えられない」

「………」


千葉からの反応はない。

こいつ、自分から聞いておいて無視かよ。


イラついて隣を見ると、そこにはなぜか真っ赤になっている千葉がいた。



…は?



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