秀才男子は恋が苦手。



「…何でお前が真っ赤になってるんだよ」


「い、いや!なんつーかこう、今まで勉強しか興味なかったお前からこういう言葉聞く日がくると思ってなかったっつーか…

なんつーか…こう…胸キュンかよ!?」


何がだよ。


俺は千葉を睨みつけると、カバンを肩にかけた。



「帰るわ」


もう千葉には何も話さないと固く心に誓う。


「わー待て待て待て!悪かったごめんて!」


慌てて俺の前にまわりこみ、バチンッと両手を合わせる千葉。



「別にふざけてるわけじゃねぇよ!?狼狽えただけで!
いいか筒井、俺から言わせてもらえばな、お前が言ってることなんて当然のことだよ」

「は?」


当然のこと?


首を捻る俺に、ヤレヤレとアメリカ人のような仕草で肩をすくめる千葉がムカつく。


「ったくこれだからガリ勉くんは…

いいか?好きな女を目で追っちゃう、近づきたい触りたい触り倒したい!こんなの男としてはフッツーの感情だ!」



普通の…感情!?



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