秀才男子は恋が苦手。
「えっ?いや、大丈夫です!」
「まぁ遠慮するなよ。合格決まって油断しまくってる三神も生活に張りが出ていいだろ?」
衛藤は丁重に断っていたが、担任は強引にその話を押し進めた。
三神が大欠伸を噛み殺しながら怠そうに言う。
「まぁ…昼休みくらいだったらいいけど?俺放課後は部活あるし」
「おしっ、じゃぁ決まりな。頑張れよ衛藤!」
ポンッと担任に肩を叩かれた衛藤が、戸惑ったように頷いたのが見えた。
遠慮がちに三神の席まで歩いていった衛藤と三神が、何やら会話しているのが見える。
一言、二言会話して、衛藤はすぐに自分の席に戻っていった。
席に戻る途中、ふと、俺の視線に気付いた衛藤が目を見張る。
だけどすぐにそらされて、衛藤はまるで何事もなかったかのように自分の席に着いた。
…なん、なんだよ。
一体何なんだよ、この展開。
「おい筒井〜?そんな怖い顔してどうし…グエッ」
俺の視線を追おうとした千葉の顔を無理矢理こっちに向かせた。ゴキ、と首の方から変な音がしたが気にしないでおこう。
「…何でもないから。席戻れ」
「んだよ戻るよっ!わ、なんか変な捻り方したァ」