秀才男子は恋が苦手。



仮に、万が一、億が一、衛藤がその、俺をす、好きだとしよう。


だとしたらなぜ、俺を避ける?

衛藤はあの日、俺が千葉に衛藤のことを好きだと話しているのを聞いてから、明らかに俺を避け始めた。

俺が好きだったら、そんなことするか?


…いや、しないだろ。よって衛藤はやはり、俺を好きではない。


いやでも、だとしたらさっきの言葉の意味は…



あぁ、もう



「分かんねー…」



俺の呟きが、秋の風に溶けて消えた。




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