秀才男子は恋が苦手。
「「あ」」
ある朝、登校すると昇降口でバッタリ衛藤と出くわした。
衛藤がこんなに早く登校することはないから面食らう俺。思わず腕時計で時間を確認するが…いつも通りの時間、だよな。
「お…おはよ、つつるん」
気まずそうに挨拶してくる衛藤。
「…あ、あぁ、おはよ」
あの渡り廊下での一件から数日が経ったが、俺と衛藤の関係性は相変わらずだ。
お互いがお互いを、無意識に避けているような、そんな感じ。
少し前までは、元々の俺と衛藤の関係に戻っただけだと思ってたけど、それとも違う。
それよりももっと遠い。そんな距離感。
「…あー、衛藤。こんな早く登校してくるなんて、珍し…「はよっス」
眠たげな声に振り向くと、三神が大欠伸をしながらボリボリ頭をかいていた。
「三神くん。おはよ!」
俺を避けるように、三神の隣に並ぶ衛藤。
「すごい寝癖だね」
「んー、まぁなー。俺寝癖アーティストだから」
「ふっ、何それ!」
楽しそうに会話しながら廊下を歩いていく三神と衛藤。…衛藤、笑ってる。
もしかして朝早く登校してきたのも、三神に会うため…とか?