私だけの場所。
2話
「えー。6月17日の親睦会で一泊二日でバスに乗って行く。どこに行くかは着いてからの楽しみだ。んで、その班と係と部屋を決める。じゃ、委員長、頼む」
ロングホームに3週間後の行事で行く親睦会の班決めをする。らしく、先生に言われて委員長の影山美奈(かげやまみな)と五百蔵風斗(いよろいふうと)が前に立つ。
それを見ながら千夏が振り返る。
「班決めと係決めだって……めんどくさいよね。」
「そう?係とかめんどくさいけど一泊二日の野外活動って楽しそうじゃない?」
「えー。でもさぁー。拓真に会えなくなるじゃん?由美も会えなくて寂しくなるでしょ?」
「それ……はね。」
なんて、笑う私に赤羽さんの話をし始める千夏に苦笑しながらも聞き流していれば、各班の人数が5名となる。2人は決まったけど……あとの3人どうしょうか……なんて考えてれば、顔を伏せていた隣の立花さんが体を起こし、私を見ている。不思議に思い首をかしげたら
「俺も神崎達の班に入ってい?」
「もちろんだよ?」
「えっ!?」
私の返事に千夏が驚く。それを無視して、よろしくね!と答えればまた顔を伏せて寝る体勢になる立花さん。それを見てれば、クラスの永松幸恵(ながまつゆきえ)さんと須賀渉(すがわたる)くんが寄ってきて、班を組むことになった。
委員長が各班の係を決めて、と話を進めていく。
私が、何故か班長になり、これまた何故か副班長に名乗りあげた立花さん。千夏はしぶしぶ保健になり、永松さん須賀さんがその他。をする。
「やっぱり、立花さんが班長になるべきだよ。」
「それな!由美はしっかりしてそうでしっかりしてないから立花くん、たいへんよ?なんなら、変わってあげよっか?」
「え、神崎さんってしっかりしてそうだよ!?」
「まさかまさか、永松さん、騙されたらだめだよ?」
千夏と永松さんの会話を聞いて酷いな、なんて思いながらもさっき配られた一泊二日のしおりをみる。
「結構ゆるいスケジュールだね。」
「だな、ま、学年の仲を深めるための行事だし……こんなもんだろ?」
なんて、私の独り言に返事を返してくれた立花さんに驚いていたが……
「副班長が立花さんで良かった。」
「なんで?ってか、さん。ってなに。」
「え?いやー。あんまり親しくないし……くん。って呼んだら馴れ馴れしいかな〜っておもって、さん。って呼んだ?」
「……変わったヤツ。立花か大輝でいいよ。」
なんて、私の目を見て少し笑っていう彼に私も嬉しくなって
「じゃあ、大輝さん!よろしくね!」
「いや、さっき言ったことは、呼び捨てでいいって言ったの。」
「え、じゃあ、立花?」
「………もうなんでもいいや。」
なんて、何故か苦笑されたのだった。