私だけの場所。
「おまえら馬鹿だろ。」
「なにょぉーー!!たしかに。授業とか、先生やクラスの皆に苗字を呼ばれてるのにワンテンポ遅れたのは馬鹿ですけどねぇー?」
なんて、須賀くんが言う言葉に千夏は怒るが私は苦笑する。
いま、傘をさして雨の日観光巡りをしている。私の隣で言い合う千夏と須賀くんを居ないかのように無視して、永松さんと立花は、雨の雫に濡れてまるで木々の宝石なんじゃないか。と目を奪われるほどに綺麗な木々を眺めている。
そこにいるのは私たちのグループじゃなくてほかのクラスや同じクラスの人たちもチラホラといたりする。
「綺麗だね。まるで妖精になった気分。」
なんて、呟いてみれば振り返った永松さんと立花が吹き出す。
「神崎さん、言葉はいい感じだよ?けど……真顔で言ってもおぉー!ってならない……かな?」
「真顔って……なんか笑えるよな。」
クスクスと笑う2人に苦笑しながらも木々を3人で並んで眺める。BGMに千夏と須賀くんの言い合いを聴きながら……
「永松さん。呼び捨てでいいよ。」
「あ、え、あ、うん。」
「なんで今」
いきなり言われて戸惑う永松さんとタイミングでツボる立花。
「立花、アンタ笑いすぎ」
「……俺だけ呼び捨てかよ。」
「なら、立花くん?」
なんて言って彼を見れば彼の目とパッチリとあう。それに気まずくて目をそらそうとしたが……立花くんの髪がいつもと雰囲気が違うくて……髪に手を伸ばす。
「立花くんの髪って……神ってるね。」
「は?」
髪だけに?なんて笑えば彼は苦笑する。が、喧嘩をしていたはずの須賀くんが腹を抱えて笑い出す。それを四人で顔を合わせて……彼のツボがわからない。と同時に呟いた私たちだった。