私だけの場所。
自由行動の後、班長会議が行われ、立花くんと先生たちのところに集まっている。話と言ってこれと言って重要な話もなく……夜のイベントの話し合いだった。
「なぁ、神崎と佐藤っていつからの付き合いなの」
「え?どうしたのいきなり。」
真面目に話を聞いてるのか前に立つ学年主任を見ていた立花くんが話しかけてくる。それに驚きながらも中学一年からの友達だという。
「それにしては、すっごく仲いいよな。お互いが信じあってる。てきな?」
その言葉に嬉しくなりながらも前を見ながら私は首を横に振る。
「ちがうよ。周りから見てればそうかもしれない。けど、千夏と私の距離はまだ、友達止まりなんだって……最近になって特に思う。どこかよそよそしいというか……私が間宮さんと付き合うようになってから私たちの間に高くもないけど分厚い壁が邪魔してる。」
「間宮さんって?」
「間宮勝人さんって人。」
「間宮勝人……へぇ、その人と好きなんだ」
そう言われて私は一瞬、立花くんに顔を向けるが、慌てて前を向く。立花くんは前を見てたから私の行動を見てないかもしれない……けど
「うん、すき……だよ。」
本心なのか、それとも……
私の気持ちなのにこの気持ちが分からなくて机に顔を伏せる。それを立花が見ていたのは顔を伏せていたから分からなかった。
あれから何分過ぎたかわからないが、体が揺すられる感覚がして体を起こす……
「やっと起きたか……」
「え?」
私を揺すっていたのは先生で……周りにいて会議をしていたはずの人達みんないなくなっていた。状況を理解しきれていない私に先生は苦笑している。
「会議が終わって30分。立花が、さっきまで起こそうとしてたんだが、なかなか起きないから部屋に戻ってもらったんだ。」
「……マジか……班長としてどーよ。みたいなね……」
「ま、そんなに落ち込むな。立花も起こそうと思えば起こせただろう。でも、それをしなかったのは……ココ最近お前の目元を彩るクマのせいだな。」
なんて、自然な動きで私の頬に手を当てて目元をなぞる先生の手……キョトンとして先生を見てれば先生と目が合って……しばらくお互い見ていればサッと手が離される。
「ほら、立花と合流して佐藤の面倒見てやれ。」
そう言って背を向ける先生に返事して部屋から出る……
私は無意識に先生が触れた頬に触れていていた。