私だけの場所。
千夏と夏休みについて話をしてたら、またまた隣から声をかけられる。
「そういやさ、8月ってなんか用事ある?」
「8月?特にない」「あるに決まってるでしょ!?私らリア充よ!!嫌味しか出てこないあんたと違ってリ・ア・充よ!!」
私の言葉を遮ってでっかい声で叫ぶ千夏。学習してないのか……またまた先生に怒られる千夏に苦笑しながらも私は千夏を見る。
「千夏は赤羽さんとデート三昧だもんね。私の場合は8月は忙しいって間宮さんに聞いてるからほとんど暇かも……」
「なら、ちょうどいい……俺の姉貴が俺の事ぼっちじゃないかって心配してさぁ……心配ないつっても聞かなくて、しまいには【それなら、あんたの友達連れてキャンプに行く。】とか言い出して……ほら、神崎達が話してた通り付かず離れずで友達いないからどうしょうか迷って神崎達に声掛けたんだ。」
「それって、あんた!!由美は彼氏いるのよ!?」
「あ?だからなんだよ。俺は友達として誘ってんだ。」
「はぁ?友達1人?さっみしぃ〜〜。」
「関係ねーだろ。」
なんて、小さい喧嘩が始まる2人。私は1度間宮さんに聞いて返事するね。と答えた。
ようやく放課後……
英語の先生に呼び出しされてる千夏を一人教室で待つ。運動場では陸上部が活動していて、それを眺めていれば教室のドアが開く。
千夏かと思い顔を上げてみれば先生で……先生も先生で教室に残ってるなんて思わなかったのか私を見て驚いている。
「どうした?居残りか?」
なんて、教室に入り開いていた窓を締めながらも聞いてくる。
「千夏がね?って、先生……もう少し時間かかるから窓開けててよ……」
「あ?嫌だ。お前が帰った後に窓閉めに来るとなったら二度手間だろ。それとも何か?神崎が窓閉めて職員室まで持ってきてくれるか?」
なんて、ニヤッと笑いながら聞いてくる先生に私は首を横に振る。
「いや。先生も千夏が来るまで教室にいればいーじゃん。」
「はぁ?なんでだよ。あ、なに、神崎お前一人が寂しいの?」
「……なんでそうなるんですか。」
なんて、言えば何故かため息ついて窓をしめるのをやめ、千夏の席に座る先生。窓の方を見て私の机に肘をついて外を眺める。
なんか、カッコイイ。
夕日?に染まる教室で、憂いを帯びた顔の先生が消えてしまいそうな儚い雰囲気で、でも、それがどことなく色っぽくってカッコイイ。
「なぁ、神崎……お前今幸せか?」
何を言い出すのかと思えば……何それ。と返事しようと思えば先生は悲しそうな顔でどこか遠くを見ていて……私は開きかけていた口を閉じ……
「普通だよ。」
なんて、答えてしまう。それを聞いた先生は私を横目で見て苦笑する。
「彼氏いんだろ?幸せにしてもらえよ。」
なんて微笑む先生の顔に……何故か悲しくなった。