私だけの場所。




放課後、先生に呼び出された私に、いつもなら職員室に行くのさえ嫌がる千夏は珍しくついて行くと着いてくる。最近千夏がおかしい。何が?と聞かれれば、やたらと私と一緒に行動する。授業の質問をしに職員室にいく時も、トイレの時も、普段千夏が嫌がるシーンとしてる図書室すらついてくる。




何があったんだ。なんて聞くにも聞けない。きっと、今の千夏は何を聞いても笑って誤魔化され何事も無かったかのように話をそらされるのが落ちだと思うから。だから、千夏がわけを話してくれるまでは待つことにしている。




「あ、由美、私ここで待っとく。中入ってもどーせ、先生達にからかわれるだけだからさ」




なんて、職員室の前で足を止め私に微笑み言う千夏に頷きすぐ戻ってくるから。なんて言って中に入れば、渡辺先生に手招きされ近寄ればプリントを渡される。




「これ、親御さんに渡しといてくれないか?」



「え……」



「いやーな。ほら、入学当時の家庭訪問も三者面談も親御さんが忙しいからって出来なかっただろ?ま、その時の手紙を今更渡してもゴミだろーけど。一応手紙だからさ。」



「…………」



その手紙を受け取ることなく手紙を見つめたままの私を不思議そうに見る先生に戸惑いながらも手に取る。



「み、見るかどうかわかんないけど……渡しとく」



「……あぁ。」




「それだけ?」



「おう。」




そう言って私を見たままの先生に失礼します。と頭を下げ出入口に向かって足を進めようとした




「あぁ、そうそう。ちゃんと仲直りしろよ」




そう言われて驚いて振り返る。




「それは………っ…………分かってますよ、そんなことぐらい……」





それは誰と?なんて、聞こうとしたが先生の視線は手紙に向けられていて……私は先生から視線をずらしそう言って背を向けて職員室から出た。





「………あっ………」





私は手に持っている手紙を何枚かめくって見た……そしたら、それは家庭訪問の手紙でもなく、三者面談の書類でもなく……ただの白紙の紙だった……1番上で大事な書類だからそれを隠すための白紙かと思ったが……全部白紙……




なぜ、あぁ言ったの?
まさか、私が喧嘩して家を飛び出したのを知って……て?




そんなことを考えていると肩を掴まれ揺すられる。ハッと顔をあげれば千夏が私の顔を覗き込んでいた。




「由美、どうしたの?まさか、渡辺先生に居残りって言われた?い、嫌だけど……わ、私も付き合うよ!?」




なんて、なんとも言えない顔をして言う千夏に微笑む。




「大丈夫。居残りじゃないから、ただ、親に渡す書類を貰っただけ。ほら、帰ろ?赤羽さんがまってるよ?」





そう言って歩き出した私の腕を千夏が掴んですこし、悲しそうに、由美には間宮さんも、拓真も私も居るから。なんて言う。そんな千夏を見て微笑み掴まれたままの腕を引き寄せ、千夏の腕を握り歩きだす。





「帰りなんか食べて帰る?」




なんて言えばたい焼き!と言う千夏に私の胸の内にあるもやもやを振り払いお互い笑いあった。




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