私だけの場所。
気がつけば、文化祭は終わっていた。
そして、私は近くの段差に座っていた。
「やっと見つけた……由美、突然走り出したかと思えば姿が見えなくなって……ほんと、どこいったの、探してたんだよ!!」
「千夏……」
「え、どうしたの……なんかあった?」
私の顔を覗き込む千夏
「お母さんがいた……」
「へ……見間違えじゃ……」
「違う、と思う……」
千夏の顔を見あげれば、少し顔をゆがめていて……不思議に思い千夏に手を伸ばすが……その手を振り払われる。
「おばさんにあって……由美は、由美は家に帰るの!?間宮さんはどうするの?だいたい……だいたい!!………いまさら、謝って許して貰えると思ってるわけ?」
「ち………か?」
「ばっかじゃないの?由美は、間宮さんと付き合って、一緒に住んでるんだよね?間宮さんを裏切って家に帰って、間宮さんと別れたら、私は……私はどうなる訳!?間宮さんと、拓真を………私……私!」
様子がおかしい千夏の腕をつかみ、視線を合わせるように立ち上がり顔を覗き込めば千夏は私を睨みつける。
「しょせん私はただの駒なのよ!!なんで、なんで私なのよ!!こんなことなら、あんたと友達になるんじゃなかった!!」
手を振り払われ、肩を押されて無様にも尻もちをつく私を千夏はどこか傷ついた表情をしながらも私をにらみつけ走り去っていく。
私は、ただ、その場に座り込んでいることしか出来なかった。