私だけの場所。
一息ついて話し出した先生に私達は耳を傾ける。
「俺が聞いた話なんだが……とあるチームがとある組を潰すために一人の女を組に送り込んだらしい。女はチームのリーダーの恋人で……好きな人のためならどんなことでもする。と決めてある組に足を踏み入れた……が、組のリーダーはそれを知った上でその女を迎え入れた。なぜなら、女を守るため……女を送り込んできたチームは、世間に認められていないことを平気でやるチームだったからだ。」
「組のリーダーに守るために受け入れられた。と、知らない女は組を探った。そして、探るうちに組のリーダーに恋をした。それを知ったチームのリーダーは女を呼び戻し、自分だけを見るようにと部屋に閉じ込めた……が、女は組とチームの違いが激しすぎて耐えきれなく眠りについた………と、なんとも言えない話だ。」
なんて、話し終えた先生に不思議に思っていれば千夏は何故か悲しそうに微笑んでいた。
「先生、その人は……その女性はその組みにいる間……幸せでしたか?」
「……さぁーな。それは本人しか知らねぇー。けど、組に来た時よりかいい笑顔で笑ってたらしいぞ?」
「そう、ですか……。いい話……ありがとうございました。」
なんて、悲しそうな顔を無理に笑みに変えお礼を言った千夏……そして
「由美……間宮さんたちの噂はね……いい噂だけじゃないの……あの日、あの場所で騒いでいた人達はほとんどが顔で騒いでるだけ。みた?あの日、あの場所で間宮さん達に冷たい視線を送ってた人たちのこと……」
「…………」
「それに、由美ごめん。やっぱり私が知らない間宮さんの噂話もあるみたい……ごめんね巻き込んじゃって。このまま喧嘩して絶交したって言って私から離れてくれていいから。お姉さんみたいに、由美をなくしたくない。」
私は無言で千夏を見つめる。
「千夏、ごめん。私その話聞いたからって千夏とこの関係を辞める気は無いから。利用してた?したいだけすればいーじゃん。千夏がそれを正しいと思うなら。けど、千夏はいま、それは間違ってるって分かったんでしょ?なら、いいじゃん。今から利用するの辞めればいいんだよ?それにね、千夏……」
利用してたのは……お互い様だから。
「私、強がって寂しくないと笑って誰も帰ってこない家で同じ夜を繰り返してた。そんな毎日に千夏が目にはいった。これで繰り返してた毎日を変えれるんじゃないかって、千夏を利用して千夏に夜連れ出してもらった……千夏にすがって、笑って、たどり着いたのは……私が望んだ、おかえり、行ってらっしゃい。と言う言葉をくれる間宮さんのそばだった。」
「でも、私を通して違う人を見ているのを知って知らないフリをしていた。私が欲しい言葉をくれた間宮さんを私も利用してた。ほら、実際家出娘だし?家に邪魔してる時点で利用してるんだし、ね?だから、気にしないで。これからも、親友でいようよ?」
なんて言った私に千夏が嫌だ。と言って抱きついてくる。不思議に思いながらも千夏を抱き締め返していたら
「もう親友違う。心の友だよ!!」
「……一緒じゃない?」
なんて、私たちの喧嘩は呆気なく終わった。