私だけの場所。




あのままの流れで、私は間宮さんの家に居候している。かと言って、毎日間宮さんが家にいる訳でわなく……間宮さんの家を借りて私に部屋を貸してくれて、有難く使わせてもらってる。みたいな感じだ。





そして、今日。入学式なのだ。千夏と待ち合わせして学校に向かって歩く。千夏と赤羽さんは上手くいってるみたいで、彼氏優先になり、春休みはあんまり遊ぶことは無かった。




「由美に会うの久々?」



「そうだよ?赤羽さん、赤羽さんで千夏あってもくれなかったよね?」




なんて、微笑めばごめんね!と謝る千夏。それを見て学校の時ぐらいたくさん話して遊ぼうね?と言うともちろん!と返してくれる。




「クラス、一緒かなぁ……」



「どーだろね!中学一年からずっと一緒だったから、別々だと寂しいね〜」




「だね〜」





と、二人で心配しながらもクラス表を見れば別々。と言う心配も虚しく消え、同じクラスだったことにお互い喜びあった。





そして、クラスに行かず、そのまま体育館に向かえば1組から順に席か用意されていて、クラスの席に行き出席番号と同じ席番に座り入学式が始まるのを待っていた……



それから何分かして入学式が始まる。
校長が挨拶して、在校生の保護者代表が挨拶して、新入生代表が挨拶して、生徒会が挨拶して……と、流れていく時間……




入学式が終わり教室に移動して席順を見るが……黒板に自由席と書かれていたため、窓際の一番うしろの席に私が座り私の前に千夏が座る。





「自由席とかラッキーだね!」



「それなぁー!」




なんて、話してればわたしの隣に黒髪男子が座る。それを見て千夏が私の耳に近づいてきて、彼イケメンだね。とつぶやく……




「千夏には赤羽さんがいるでしょ?」



「やだ、由美には間宮さんがいるでしょ?」




なんて、言われて少し固まる。それに気づかず私の隣の男子をちらちら見てる千夏に苦笑しつつ、数ヶ月付き合ってみたものの間宮さんに対しての好き。と言う気持ちがどういうものか理解していない私。



好きか?と聞かれれば好きだと答える……けど、それが恋愛的に?と聞かれれば私はきっと答えられない。




そんなことを考えていたら、担任が入ってくる。それぞれ席からたって話をしていた生徒に座るように言う先生の声……



一瞬、あの夜の銀髪の男性を思い出す。




「はい、このクラスの担任の渡辺隼人(わたなべ はやと)です。1年間よろしくな。んじゃ、書類とか渡すから後ろに配れよ」



なんて、書類とか、手紙を配り始める先生にやはり声が一緒だと思う。けど、あの日あった彼は銀髪だった……先生の髪は黒髪で……どう考えても学校の教師が銀髪なわけが無い。なんて、自分に言い聞かせ、何故かソワソワとする心臓を落ち着かせたのだった。




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