紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
「ここです。」
案内された、明かりの漏れる部屋の前で三つ指をついて前に座るお義母様が、ふすまを開けるのを待つ。
そっと、ふすまが開けられた気配を感じた。
顔を上げれば、目の前に私の旦那様となる方がおられると、思うとやはり少しばかり緊張する。
「センさん、」
お義母様が、小声で私を促してくれた。
「藤田家の、センと申します。」
そうして、ゆっくりと頭をあげると、目の前に金の屏風の前で正装をしている男性と目があった。
(…優しそうな人。彼が、優作さん。)
心の中で初めて見た優作さんは、穏やかそうな、優しそうな印象を受けた。
けれど、目があって直ぐに彼の方からそらされてしまった。
私は、そっと立ち上がり、優作さんの隣に用意された座布団へ座った。
なんだか、右側がむず痒く感じながら何度かそっと見上げた、優作さんは祝言のあいだ中、正面しか見ていなかった。
三三九度などを終えて祝言が滞りなく進み、両家で宴会をしている間も、彼は一度も私を見てはくれなかった。
もしかして、私じゃだめだったんだろうか。
そんな、考えが一瞬よぎったが、よくよく考えれば、初めてあった人間を家族もいる場所で、ジロジロ見るような人はいないだろうし、もしそんな人が旦那様だったら、それはそれで、嫌かもしれない。
ここは、真面目そうな人で良かったと思おう。
案内された、明かりの漏れる部屋の前で三つ指をついて前に座るお義母様が、ふすまを開けるのを待つ。
そっと、ふすまが開けられた気配を感じた。
顔を上げれば、目の前に私の旦那様となる方がおられると、思うとやはり少しばかり緊張する。
「センさん、」
お義母様が、小声で私を促してくれた。
「藤田家の、センと申します。」
そうして、ゆっくりと頭をあげると、目の前に金の屏風の前で正装をしている男性と目があった。
(…優しそうな人。彼が、優作さん。)
心の中で初めて見た優作さんは、穏やかそうな、優しそうな印象を受けた。
けれど、目があって直ぐに彼の方からそらされてしまった。
私は、そっと立ち上がり、優作さんの隣に用意された座布団へ座った。
なんだか、右側がむず痒く感じながら何度かそっと見上げた、優作さんは祝言のあいだ中、正面しか見ていなかった。
三三九度などを終えて祝言が滞りなく進み、両家で宴会をしている間も、彼は一度も私を見てはくれなかった。
もしかして、私じゃだめだったんだろうか。
そんな、考えが一瞬よぎったが、よくよく考えれば、初めてあった人間を家族もいる場所で、ジロジロ見るような人はいないだろうし、もしそんな人が旦那様だったら、それはそれで、嫌かもしれない。
ここは、真面目そうな人で良かったと思おう。