紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
昼を過ぎたころ、家の前に馬車が止まる音が聞こえた。

「おいっ優作!。来た!!祝言の部屋に行くぞ。」

兼義が、慌てた様子で私の部屋に転がり込んできた。
あぁ、いよいよか。

そんな心持ちで私は重い腰を上げて、準備された部屋へと向かった。

部屋の襖を開けると、綺麗に整えられたシンプルな部屋に母が活けたであろう花が美しく映えていた。

そして、襖の真正面に金の屏風が立てられその前に私が座る座布団が敷かれてあった。

「何してるんだよ、ここまで来て辞めますとかなしだからな。腹くくってさっさと入れ。」

襖を開けたままで立ち止まっている私をみて、兼義がピクリとも顔を動かさずに言った。

「………お前、最近私への扱いが酷くないか?」

兼義をジッと見て尋ねると、「それは、いつにも増して最近お前が女々しいからだ。」と一蹴された。

別にここまで来て逃げるつもりはない。

相手の女性が、美人であろうと無かろうと夫婦としていい家庭が作れたら良いなと、人並みくらいには思っているさ。

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