紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
しばらくして、玄関の方から人が話す声が聞こえてきた。少しずつ大きくなっていく。

崩してした姿勢を整え、きちんと座り直す。

「じゃあ、優作。俺はもう行くからな。せいぜい、頑張れよ。」

奉公人である、兼義はこの祝言に参加することはできないので、退室しなくてはならない。

「何をどう、頑張るんだよ。」

私の小言を聞かずに兼義は襖をパタンと閉めた。

奴が出ていった襖は、数分後に父によって開かれた。

父の後ろには、藤田屋の厳格と名高い主の藤田 茂雅
"シゲマサ"と、その妻藤田 伊織の姿があった。

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