紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
みんなが、用意された場所に座り花嫁の登場を待った。

障子から差し込む光が、西日に変わりつつある。

そこに、二人の人間の影が映し出された。
私は、手に汗を握り深く深呼吸をした。

スーッと障子が開けられて母の後に真っ白な白無垢を着た女性の姿が見えた。

頭を下げているので顔まではよく見えなかった。

母が障子の外で体を横にずらし、障子と平行に座り直した。

「藤田センと申します。」

彼女が、落ち着いた雰囲気の声で挨拶をした。

ゆっくりと顔をあげた彼女と目があってしまった。

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