紡ぐ〜夫婦純愛物語〜

野崎 センの初夜

父と母を見送り、私は玄関に戻った。時刻は午後6時を回っていた。

ガラガラと、扉を閉めて施錠をして新たな私の家に入った。

玄関を上がってすぐ近くにお義母様が立っていた。

「あ、今日はありがとう御座いました。右も左もわからぬ不束者の娘ですが、野崎家の嫁として役に立てるよう頑張るのでこれから宜しくお願いします。」

そう言って、お辞儀をするとお義母様が、私の手を取って握った。

「センさん。何か困った事があったら何でも言ってね。私の事は実の母だと思って頼ってちょうだい。」

終始優しいお義母様に、緊張はどこかへと消えていた。
「ありがとうございます。あの、一つお尋ねしてもよろしいでしょうか。」

「ええ、何でも聞いて頂戴。でも、まずはあなたの部屋に案内するわね。」