紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
天井を見上げながら、ボーッとしていると隣の部屋から物音がした。

思わず、ビクッと飛び起きてしまった。

(あぁ、優作さんがお風呂を上がったのか。)

襖一枚で仕切られている隣の部屋に、自分の夫がいると思うと緊張する。

ましてや、まともに会話もしていない男だ。

さて、私からこの襖を開けて挨拶をするか、はたまた向こうが開けるのを待つか。

否、自分から開けるのは恥ずかしいし、はしたないと思われるかもしれない。

どうするべきか正座をして考えながら、襖とにらめっこをしていると、突然スーと襖が開いた。

驚きすぎて、声をあげることもできず呆然と固まってしまった。

目の前には、優作さんが立っていた。髪が少し濡れていて、ポタポタと雫が落ちている。そんな、無防備な姿を一瞬可愛いと思ってしまった。

「あっ、突然開けてすみません。その、お風呂上がったのでどうぞ。」

それだけ言うと、私の返事も待たずに襖を閉めてしまった。

私は、襖に向かって「はい。」と言ってしまった。

(あぁ!襖と向き合って変な女だと思われただろうか。)

項垂れながら私はお風呂に向かった。
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