紡ぐ〜夫婦純愛物語〜
まだまだ、彼の事なんて何も知らないけれど、今日一日この家の雰囲気を見て、彼は私を大切にしてくれるのではないかと感じた。女の勘というやつだ。

「私に、不満や文句がある時は遠慮せずに言ってください。私は今まで、勉強しかしてこなかったのでどうも、人の気持ちを推し量る事が苦手なようで。察してあげられない事もあると思いますから。」

優作さんが気まずそうに言った。

なんて、誠実な人なんだろうか。私はこの人のことを大切にしたいと思った。

「ありがとうございます。」

緊張がほぐれるとお腹が空いてきた。

そういえば、宴会の時優作さんもほとんど何も食べていなかった気がする。

「優作さん、どうして宴会の時何も食べられなかったんですか?」

気になって聞いてみた。

「……恥ずかしいことなんですが、緊張してしまってとても食事が喉を通る状態ではありませんでした。」

自嘲気味に笑う優作さん。

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